【感想文・書評】実はあなたも当てはまるかも!?に気づかせてくれる本「気づけない毒親」
あなたは、毒親という言葉に触れるとどう感じますか?
私はけっこうな抵抗を感じます。
普段、多くの保護者の方にお会いしお話もしていて、皆さんが一生懸命子育てをしていることを知っているからです。
でも、最近、プライベートである出来事があり、「あれ?もしかして毒親って普通の親のこと?」と認識するに至りました。
即Amazonで数冊の本を購入。読む、読む、読む。
今回は、その中の1冊「気づけない毒親」という本をご紹介します。
著者 高橋リエさんのプロフィール
- 母娘謎解きカウンセラー
- 30代半ばに結婚・出産し、子育てにつまづき、子どもの不登校などを経験して初めて、自分が重度のアダルトチルドレンだと気がついた
- 自分の問題と向き合うのと同時に、2008年より心理学および心理療法を本格的に学び、都内メンタルクリニックを経て、2012年より機能不全家族で育った女性達、とりわけ毒親に悩む方向けにカウンセリングサロンをスタート
- 本書以外の著書に「お母さん、私を自由にして!」(飛鳥新社)、「恋愛低体温症」(総合法令出版)など
高橋さんは今の私と近い年齢、つまり40代で心理学の勉強を本格的に始めたようです。
それってすごい行動力!
きっかけは人生でのつまづきかもしれませんが、それを原動力にして「過去や今の自分の様な人を助けたい」という活動をするまでに至るのは、高橋さん自身が意思や使命感を持っていたからだと思います。
素晴らしいですね。
本の概要
では、本書にはどのようなことが書かれているのでしょうか?
前半部分
前半は「毒親ってどんな親?」ということを解説しています。
自分の毒親度を知るためのチェック表もあるのですが、「私の親は毒親なのではないか?」という疑問を持っている方も読める内容です。
というのも、親本人もその子どもも、自分が「毒親」だとも「毒親育ち」だとも自覚のないことが多いのです。
高橋さん曰く、
子どもが成人後、親密な人間関係を築きにくいとか、人間関係を避けてしまう、自分の子育てでつまずく
こういったことで、「自分は毒親育ちだったんだ」と気が付くことが多いそうです。
そして、そんな子どもに責められて「自分は一生懸命子育てをしてきたのに、なんで責められるのだろう」と親も疑問を持つ。
何かきっかけがないと、親子ともになかなか気が付けません。
因みに、高橋さんによる毒親の定義は、
不安が強く、強迫観念から子どもをコントロールしがちで、子どもの気持ちを思いやれない親
これは、納得ですね。
毒親って、子どものことをきつく叱ったりと恐怖で支配する親ばかりではなく、けっこう普通の親なのです。
子どものことを心配しない親はいませんから。
親の不安が強いということで、親自身の育ちにも同じような過去があることが多いでしょう。
普通に見える親が毒親、普通に育ったつもりがアダルトチルドレンになっていた。
これは「普通」にそこにある状況です。
後半部分
実際にどんな親子がいるのか、家族の関係を良くしていくためにはまずどうしたらいいかについて書かれています。
その中で、個人的に「うん、うん」と深く納得した2か所をご紹介します。
①親に本心を伝える
親に本心を伝えられていない人は多いですが、そもそも自分の本心に気が付いていない人も多いそうです。
「怒りイライラ」するのは実は「悲しくて怖い」ということを、自分でもなかなか認識できないもの。
人間関係のあらゆる問題は「自分の本当の気持ちを、相手が分かるように伝えていない」ことが原因
とあるのですが、本当にそこに尽きます。
人が持つ悩みは全て人間関係に関すること、そして、それはコミュニケーションに問題があるから。
子どもの将来を本当に心配するのであれば、支配しようとするのではなく、子どもが子ども自身の本心をいつでも親に話せるような環境を作ってあげることが大切なのでしょう。
良かれと思って先回りをして安全な道を作り、そこだけを歩んでいくように子どもに強制することは、子どもの将来の人間関係に問題を生じさせると認識しておく必要があります。
②親の価値観が変わると、子どもが変わる
ここだけの話、私は感覚が柔軟な方だと思っていたのですが、この一文を読んだことで「あーーー!私も旧型人間だ!」と自覚しました。
今はもう、頑張らなくても、我慢しなくても、競争に勝たなくても、人に評価されなくても、人に好かれなくても、生きていけるのです
私は昭和54年生まれ、もっと昭和ど真ん中の親に育てられたので、価値観の土台は「昭和」です。
でも、今は平成も終わって令和。3つ目の元号を経験中で時代の変化を感じてます。が、現実世界の変化は年々速くそしてダイナミックになってきています。
そんな時に、親が親の感覚だけを頼りに子育てをしていくと、今を生きる子どもとはズレが生じてきます。
そもそも、親子も別の人間なので価値観だって違います。価値観も生きている時代も違うのだから、親が子どものことをコントロールなんてできるわけがないのです。
親も自分の人生を楽しんで、その姿を子どもに見せるのが1番の教育なのだろうなと感じています。
この本からの学び
ズバリ、子育てをするには勉強が必要、ということを学びました。
それは何か特別な教育法について学ぶということではなくて、
- 今がどういう時代で、子どもや若者がどんな感覚を持っているのか
- 自分が持っている価値観の洗い出し
- コミュニケーション
偉そうに書いていますが、これは私自身が今思っていることです。
お子さんと関わる仕事していて、上記のようなことを学んでいないとズレたシッティングをしてしまうなと感じました。
それは親御様も同じでしょう。
子育って日々が感情労働だと思うのです。相手(子ども)の感情を扱うために自分(親)の感情をうまく扱う必要があり、ストレスが溜まりやすい。
これを上手にできるようになったらコミュニケーションのプロですし、逆に上手にできなくても当たり前です。
子育てはうまくいかなくて当たり前ですが、子どもも自分も幸せになりたかったら、「過度な心配や不安」を手放すこと、手放すために勉強をしてみること、そんなことが大切なのではないでしょうか。
まとめ
毒親って特別に「悪」な親ではありません。
子どものことをとても大切に想っていて、子育てに一生懸命な親です。
その一生懸命さをちょっと自分の方に向けてあげられたらいいですね。まずは自分のことを大切にする気持ちになれたらいいですね。
それが、結果的には子どものことも幸せにします。
結論として申し上げたいのは、「毒親」というネーミング変えませんか?ということです(笑)
まだ新しい候補は浮かんでいませんが。
とりあえず、私も今一度親とお酒を飲みながらお互いの本音を話合いたいなと思います。
これを読んでくださったあなたもよろしければ。