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【感想文・書評】読むだけで子育ての悩みが激減する本「佐々木正美の子育て百科②~入園・入学後子どもの心はどう成長するか~」

無我夢中で子育てをしているうちに、気が付いたら幼稚園や保育園に入園する、そして、小学校に入学する年齢になっている。
子どもの成長って本当に早い。

早いけれど、それと共に親の悩みも次々と出てきます。中でも子どもの心の育ちに関する悩みや困りごとは、延々と続いてくのではないでしょうか?
私自身は、1歳前後から見てきたお子さんが4歳や5歳になってきて、シッターとしての悩みも身体の安全から内面的なものに移行していっているのを実感しています。

この本は、児童精神医学会のレジェンドである佐々木正美先生の言葉を集めたものです。
一社会人としても、生涯現役で活動された佐々木さんの姿勢には感銘を受けますが、佐々木さんのその豊富な臨床経験から発せられる言葉は、とても重みがあり、同時に温かさもあります。
子育てで悩むことが増えたな、我が子の将来に不安を感じるな、という方は、この本を読むと身がしまる思いを感じるでしょうし、ホッともできると思います。

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今回は、「佐々木正美の子育て百科②」を紹介させていただきます。

 

 

佐々木正美さんのプロフィール

  • 1935年前橋市生まれ。新潟大学医学部卒業後、ブリティッシュ・コロンビアア大学医学部児童精神科に留学
  • 帰国後、国立秩父学園・東京大学精神科・東京女子医科大学小児科勤務を経て、77年、小児医療相談センター所長に就任。
  • 95年から、横浜市総合リハビリテーションセンターに勤務。97年、川崎医療福祉大学教授に就任し、以後2003年から亡くなる2017年まで特任教授・客員教授となる。
  • ノースカロライナ大学精神科でTEACCH(自閉症の療育支援プログラム)を学んだことをきっかけに、その行動研究に携わり、日本での普及に努める。
  • 子育て・療育の講演やセミナー、保育園・幼稚園の勉強会などを全国各地で定期的・継続的におこなう。
  • 2017年6月に81歳で逝去

とにかく経歴がすごいです!亡くなる2年前に大学の客員教授に就任するなど、そのバイタリティからして只者ではない。

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使命感のあることをお仕事にしている人ならではのパワーがあるのだろうな、好きなことを仕事にしている人は、頑張るつもりなく頑張れるのだろうな、私もそうありたいなと、佐々木さんの経歴を見ていると感じます。

著書も多数で、その数何と100冊以上。「子供へのまなざし」3部作「はじまりは愛着から」などが代表的で、シッティング先のご家庭でも本棚に置かれているのをよく見かけます。

本書の概要

この本は、佐々木さんが1994年から2017年まで顧問をしていた、子育て協会の小冊子から選択して構成・編集したものです。
佐々木さんの子育て哲学のエッセンスを集めたものなので、全ての項目がそのまま学びになります。

  • 第1章と第2章では、子どもの自己肯定感を育むことや、子どもの心が成長するにはどのような環境が望ましいか、ということが書かれています。概念的な内容でありながら,身に覚えのある親も多いでしょう
  • 第3章では親からの、第4章では保育者や教師からの悩みや相談に佐々木さんが答えていきます
  • 最後の第5章では、子どもと接する仕事をしている人が心しておくことが書かれています。自閉症の子どもへの対応法なども具体的なので、保育者や教師などは、自分がこれから何を勉強すべきかも分かり、とても学びのある内容です

親・保育者・教師など、どの目線から読むかによって強く響く箇所は違ってくるかもしれません。
私はベビーシッターなので、親でもないし保育士さんや先生でもない。その中間的な立場であるがゆえに、親の悩みも保育者や教師の悩みも両方分かるなと思いながら読みました。

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今の日本、特に都市部では核家族化が顕著で、かつご近所とのつながりも希薄になっています。
そんな中で親は孤軍奮闘するわけですが、でも、親の手だけで育てることなんて不可能ですし、そうしてはいけないと佐々木さんは言っています。多くの人と触れ合い色々な愛情を知ることで、子どもはのびのびと育っていくのであって、その時に重要になるのは保育施設や学校です。
つまり、親と園や学校が協力して子どもを育てていく。
親には親の愛情や役割があり、保育者や教師にもある。それが何なのか、というのをこの本は分かりやすく書いてくれています。

感想・気づき

私がこの本から得た最大の学びは「人間関係が全てである」ということです。

子どもの中にまず育ててあげなければいけないもの、それは人との関係が豊かに、自由に持てるということです。それが何よりも大切なのです。

本当にそう。子どもの世界に限らず、老若男女全ての人に共通していることですよね。
全ての悩みは人間関係から生じると言われますが、その逆もしかりということ。親や大人が子どもに提供できる最大のギフトは「豊かな人間関係」なのです。

日々生きていることが楽しい、幸福だという人は、人間関係が楽しい人です。
その人の生活空間の中に楽しい人間関係を持っている人です。

不登校の生徒たちは勉強のできる子が多いのです。勉強ができることで学校が楽しくなるわけではないのです。人間関係が楽しいから園や学校が楽しい。

人間関係をいきいきと持てなかったら、生きていること自体が楽しくなくなるのです。

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40歳独身、一人で過ごすことにもかなり慣れていますが、だからと言って独りで生きていけるわけではありません。
友人やお客様、そして、日々シッティングをしているお子さんたちが居てくれるから、私は明日を楽しみにすることができるのです。
大人がそうであるように、子どもには今の人間関係を謳歌し、将来の人間関係を楽しみにしていて欲しいですね。

佐々木さんが影響を受けてきた方たちの中でも代表的な一人、アメリカの精神科医・社会心理学者ハリー・スタック・サリヴァンの言葉が染みわたります。

人は自分の意味や価値を人間関係の中に実感することができる

親子は一番身近な人間関係

親は子どもに愛情があり、そこには子どもの将来の幸せを想う気持ちが多分に含まれています。とても大切な愛情だけれど、それが全てではない。
ということを佐々木さんは言っています。

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子どもというのは、小さければ小さいほど、今幸福でなければ、将来に夢や希望はぜったいに持てないんですね。今苦しくても、頑張って行けば将来は幸福なんだ、というのは大人の感情ですから。

そうそう、単純なことなのに、大人になって数十年たつと、子どものこの単純かつ純粋な心根(表現が合っているか不安)を忘れてしまうんだなと実感して、グサグサ来ました。

同時に、佐々木さんは

今苦しくても頑張れば将来幸福になるという気持ちが強いご両親がいらっしゃればいらっしゃるほど、今を幸福にしてくれる人に預けなくてはいけない

とも言っています。おじいちゃんやおばあちゃんの愛情をたくさんもらわなくてはならない、と。それは園や学校も同様でしょう。

性役割(gender role)の向こう側

豊かな人間関係を築くには、友人や他人のことを信じる力が必要です。
人のことを信じるには、まず自分のことを信じる

子どもというのは、お母さんをどのくらい信じることができるかというのが、自分をどのくらい信じることができるかにつながるんです。お母さんと言ったときには、必ず陰にお父さんがいるということを先ほどから申し上げています。お母さんをどのくらい信じることができるかということと、自分をどのくらい信じることができるかというのは、表裏一体なんですね。

 自分を信じる(自己肯定感や自己効力感)ことの前提には、お母さんの存在があります。
家庭は子どもにとっての安全基地であり、絶対的な安心感と癒しがある場所です。その象徴はお母さん。
お母さんが安らぎや癒しを最大限発揮することができる前提には、お父さんの存在があります。

お父さんに頼りがいがあるときに、お母さんはやさしさ、母性性を発揮できるのです。
お父さんに頼りがいがないと、お母さんは子どもに傾斜していきます。子供に過剰期待していくのです。

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 私は性別による役割分担があまり好きではありません。今や女性だって男性と同じように仕事をする時代。
子育てのオペレーションだって、母乳での授乳以外はお父さんだって何でもできる。家事も同様。

そう思っている人間ですが、もっと根本的な部分では母と父の違いはあるのだろうと感じています。自分の実体験から。

私の両親は(当時は多かった)お見合い結婚です。
幼い頃から、自分の父と母にあまり信頼関係がないなと感じていました。というか、母が父のことを信頼していなかったのです。

  • 第一子である私が産まれる瞬間も飲んだくれていた
  • 結婚前から借金があったことが後に分かった
  • 自分の機嫌の波を家族にぶつける

こういったことを母は小学生の私に愚痴るのですね(笑)
当然ながら私は父に対して不信感を持つようになりますし、仲が良くないように見える両親の関係性に悲しい気持ちを持っていました。
そして、私は自分にいまいち自信を持てない時期を長く過ごしてきました。人の顔色が気になるし、人から自分がどう思われているのかばかりが気になっていました。

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どうしてもそうなってしまう。父にもっとしっかりしてほしかったです。家族にとっての精神的な屋台骨になってほしかったです。母を毎日幸せな気持ちにしてあげてほしかったです。

というふうに子どもは繊細に感じますし、影響を受けるのです。
子どもが自分を信じ人のことを信じ、豊かな人間関係を持てるようになるためには、両親の関係性が大きな影響を与えます

これは真実だと思いますし、佐々木さんはそのことをよく分かっていらっしゃるからこそ、この本の中でも繰り返しお話しているのでしょう。

最後に

子どもが幸福な人生を歩んでいくのに必要なのは豊かな人間関係。
子どもが将来持つ人間関係には、家族関係(夫婦関係)が色濃く反映される。
子どもは、まず家庭の中に安心を得てさらに多くの人の愛情にふれることで、のびのびと成長していく。

私は、ベビーシッターです。そんな私がお子さんや親御様にしてあげられることは何だろう?
個人的には、近所の世話焼きおばちゃんを目指しています(笑)

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あなたはどの目線からこの本を読んでみますか?親、祖父母、先生、保育者などなど。

自分自身にとっての学びになるのはもちろんのこと、この本を読むと、目の前の子どもに対する接し方や気持ちの持ちようにも、変化が生じるかもしれません。
よろしければご一読を。