【感想文・書評】ここを解決して本当の親子になる!『長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか』
母娘って一番近い関係だから何を言っても平気。分かりあえている。
何でも話せて共有できて、友達のような母娘が理想。
と母親が思っていても、実は娘はそう思っていないかもしれません。
むしろ、ものすごい重りを娘に背負わせているのかも。
「私が小学生の時に言った母の言葉がどうしても忘れられない」
「どんなに頑張っても、自信を持つことができない」
「みんなに好かれるように行動しないと、自分には価値がない」
などの悩みがある方へ。
今回は、大美賀直子さんの『長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか』をご紹介します。
大美賀直子さんのプロフィール
- 1971年栃木県生まれ
- 早稲田大学教育学部卒業
- 出版社、IT関連企業などで編集者として勤務
好きな仕事をしながらも、自分に自信が持てなかった大美賀さん。
30代で心理学を勉強し始めカウンセリングの仕事を開始しました。
精神保健福祉士、産業カウンセラー、公認心理士などの資格を保有。
現在は、カウンセリングやコンサルティングの傍らで、All Aboutで「ストレス」を担当するなど多数のコラムをや本の執筆、メディア出演などもおこなっています。
大美賀さんご本人が、就職してからも生きづらさを感じてきたところで心理学に出会ったそうです。
そして、心理学を学んでいるにも関わらず、自分の子育てで無意識のうちに子どもを傷つけていたことに後で気が付くなど、家族関係で試行錯誤を続けてきたそうです。
この本は、そういった経験やカウンセリングで多くの長女さんが悩んでいる事実を元にして書かれています。
(ここで言う長女には、一人っ子の娘、男きょうだいの中の一人娘、長女の役割を担う妹も含みます)
概要
この本では、「娘に執着する母」を分析して、母の呪文から解放されるためのヒントを示しています。
第1章 なぜ母は娘に執着するのか
娘を責める母
勝手に娘の将来を決める母
世話を焼きすぎる母
などの具体例を出しながら、どんな風に母が娘に執着するのか、そして、そういった母の多くが夫婦関係に問題を抱えていることなどが書かれています。
夫婦の仲がよく、円満にコミュニケーションをとりあう関係であれば、「夫婦の問題は夫婦で話し合って解決する」「夫(妻)の気持ちは妻(夫)が受け止める」という意識をもちやすく、母が娘に執着する必要もなくなります。
家族関係の根本は夫婦関係なのでしょう。
更にその根本には、夫婦が子どもだった頃の育ちが影響しています。
無限ループ?
第2章 母が子ども時代の娘にかけた「呪文」
呪文にもタイプがあります。
- 「○○してはいけない」などの禁止令
人への最大の褒め言葉をご存知でしょうか?「あなたがあなたでいてくれてありがとう」です。存在そのものを褒めること。その逆、「あなたがあなたでいてはいけない」と言われ続けたらどうなるか?その子の自己肯定感はズタズタです。 - 「○○しなさい」と駆り立てるドライバー
子どもは本能的に親に褒められたいので、煽られるほどに頑張ります。せっかく成果を出しても褒められるのは一瞬。「もっともっと」と求められてボロボロになってしまいます。
小さい頃からこういった禁止令やドライバーの言葉をくり返し浴びていたら、それに染まっていきます。
幼少期を過ぎ、小学生に入った子どもは「勤勉性」という発達課題に直面します。
~中略~
この時期の子どもたちは、みんなすなおで大真面目。
言葉の威力強い、よくも悪くも。「よい呪文」のシャワーを浴びせてあげたいですね。
因みに「勤勉性」は心理学の用語です。
詳しくはこちらの記事をどうぞ!
https://coeteco.jp/articles/10725
第3章 大人の娘を縛りつづける「母の呪文」
就職して自活するようになっても、なぜか自分に自信が持てない、人からどう見られているかがいつも気になり生きづらい、と感じている女性は大勢います。
子どもの頃にかけられた呪文は、大人になっても娘の心や生き方を縛っているのです。
人はそもそも、
「よい子じゃなくても、気の利く子じゃなくても、あたなはあなたのままでいい」と存在そのものを承認してもらえれば、「他者の評価」など気にしないで生きていくことができます。
つまり、自己肯定感が育っているかいなかで、大人になってからの人生にも大きな違いが出てくるのです。
そして、この自己肯定感が育っていないと、本当の意味での自立ができません。
「自立」とは、「経済的自立」だけを意味するものではありません。
- 「経済的自立」=自分で働いて得た収入で生活すること
- 「精神的自立」=自分で判断し、自分の責任で行動し、その結果にも責任を持つこと
- 「生活的自立」=日常生活にまつわることを、自分自身で切り回せること
自立にはこの三つの要素があるのです。
母に執着された娘はこういった自立ができづらいのですが、同時に母の方もできていない、特に精神的自立。だから、娘に執着するのです。
第4章 「母の呪文」から自由になるためのヒント
娘に執着する母は、自分の人生と娘の人生は別のものだと認識する必要がありますが、同時に、娘も「母も1人の人間であり完璧な存在ではない」ということを認識して、それを受け入れる必要があります。
その上でも母と分かり合うことができなければ、物理的・精神的に離れるのも大切なことです。
お互いの人生を自立して自分の足で歩んでいく。
そのためのライフハックはこちら。
人間関係のストレスに振り回されないためには、活動と関係の拠点を三つは確保する「三点確保」が必要
なるほど!
人間関係が一~二ヵ所に限定されていると、その関係内で不愉快な出来事が起こったときにそのなかの問題だけに意識が集中し、不安や苛立ちがつのってしまうのです。
いや、まさしくこれです。
これは、どんな人にも必要な生き抜く力と言えますね。
この本から学んだこと
この本は、母娘関係に悩むお子さんのために書かれています。
でも、同時にお母さんのための本でもあります。
健康的な母娘関係を築いていくため、そのためにお母さんに大切なのは、
- 自分の夫婦関係や育ちを見つめ直して改善する
- 母娘ともに3つの自立を目指す
家族の問題は、全て夫婦関係に起因します。
私の両親はあまりコミュニケーションが円滑ではなかったので、私と母も同じような関係になりました。
母は父に言いたいことを言えないから、そのグチを私にこぼしていました。
私は、「結婚なんてするもんじゃない。」という価値観を身につけました。
子どもは真っ白なキャンバスなので、親が発した言葉に簡単に染まり、その言葉通りの価値観を身につけていきます。
そして、世代間で受け継がれがちです。
そういった負のループを自分の代で断ち切るには、「自立」が必要不可欠です。
特に精神的な自立。
これは、お母さんだけじゃなくて娘にとっても必要なこと。
お互いが自立してお互いの人生を歩んでいく。
ちょっと冷たいようにも感じますが、適度な距離感が大事ですよね。
例えば、本当に信頼している友人とは、どんなに期間が空いて会っても久しぶりな感じがしないじゃないですか。
それと似た感覚です(笑)
母娘だからっていつもべったりしている必要はありません。
母も娘ももっと自由になっていいのです。
まとめ
親はいつだって子育てに一生懸命!
だけど、親も人間だから間違えることもあるし、無意識で子どもを傷つけてしまう時もあります。
ただ、子どもに人生を楽しんで歩んでほしいと考えるようだったら、ちょっと手と気を抜いてみてもいいのかもしれません。
だいたいこのことは何とかなるし、
心配してることの90%は起こらないらしいですし
、極論なるようにしかならないのが人生です。
娘に色んな呪文をかけて縛ってしまう母親というのは、自分のことや娘のこと、家族のことで心配事がたくさんあるのでしょう。
家族のこと全部背負っているのでしょう。
それをちょっと手放すことができるようになったら、少しはラクになるかもしれませんね。
娘であるあなたがこの本を読んで、どう行動するかは自由です。
だけど、あなたがあなた自身のために行動することは、いずれお母さんのこともラクにすることに繋がるのでしょう。
私もワクチンを打ったら約2年ぶりに帰省しようと思います。